目次

さっそく観てきたので、UOZAブログ的考察をしたいと思う。もちろんネタバレありなので「TENET」観る前にこの記事読まないでください。

この世界の真実を暴き続けてきたノーランの新作「TENET」。またまた、とんでもない世界の真実が隠されていることがわかったから、オカルト好きならば絶対に見るべし!

今回の考察は「TENET」のストーリーを説明したりだとか、ややこしい時系列を解説だとかいうものではないのでご了承ください。ちょっと変わったオカルト考察です。

解脱している「名もなき男」

物語のはじまり

いきなり重要な場面から始まった「TENET」。主人公の「名もなき男」はCIA部隊の一員であり、オペラハウスで起きたテロ事件の中でとある任務を遂行していた。しかし敵に捉えられ、仲間を守るため(情報を漏らさない為)に自害するカプセルを飲んだ。

ここはとても重要な場面。主人公はこの場面で一度死んでいる。映画の中では、この後目覚めて助かっているのであるが。しかし、主人公は世界を滅亡から救う張本人であるのだから、絶対に一度死んでいるはずなのである。

死んでから生き返ること

一度死んで生き返ることは「解脱すること」を意味している。「解脱」という概念がここで突然出てきた理由は、「解脱」する人だけが時間を支配することになり、世界を救うことができるから。

人間が窮地に立たされたときに、他人の為に死ぬことを体験しなければ「解脱」できなかったりする。

いきなりぶっ飛んだ考察から始まってしまったが、何故そう言えるのかはこの記事の最後の方で説明していくので、胡散臭いとは思うけれど読み進めてほしい。お願い。

神に選ばれた人物たち

船の中で目を覚ました主人公は「TENET」という言葉とともに、世界を滅亡から救う任務を任されたことを知る。滅亡から世界を救うテストに合格したのは主人公だけだと伝えられた。

死んでから復活した人といえば、救世主イエス・キリスト。創造主の息子であるイエス・キリストは生まれながらにして神に選ばれた人物である。「TENET」の主人公も同じく死んで復活した人物であると言える。

『神に選ばれ復活した者だけが世界を救うことができる』ということが表現されている場面であり、「名もなき男」が世界を救う物語のはじまりにふさわしい場面なのである。

関連記事:イエスは「解脱」を表す

順行する時間と逆行する時間

今までにない世界の表現

「TENET」の見所は、時間の順行(未来に進む時間)と逆行(過去に進む時間)が一つの画面のなかに同時に描かれているところ。こんな表現を思いつくノーランは天才か。この表現方法の何がすごいかというと、今までのSF世界にはなかった表現方法だから。

『過去に戻ってある時点の出来事を変更して現在に戻ってくる』というのがよくある表現方法。原因になるところまで戻っていって、原因を修正し、結果そのものを変えるというもの。

しかし「TENET」は少し違う。映画の中に出てくる「起きたことは仕方がない」というセリフからもわかるように、起きてしまった結果は変えられない世界観であった。逆行することで原因を確認するのみで原因は修正せず、新しい行動を起こし、結果を変えた。

日本アニメの時間の流れ

例えば、日本のアニメ「シュタインズゲート」も「まどかマギカ」も主人公が大切な人を助ける為に(世界を救う為に)なんども過去に戻る。『なかなか救うことができないから世界線を変更してやり直す』という物語だったりする。

これもある意味、結果は変えられない世界を認めながら(一度終了して)やり直すという「TENET」と同じ流れではある。

しかし、それらアニメの時間の流れは未来への一方通行であり「死んだら過去に戻る」を繰り返す。なんだか悲しい雰囲気が漂う物語であった。

TENETの時間の流れ

「救済」が決定している世界

「TENET」にはその悲しさが見当たらない。何故ならば、この物語には最初から「世界は救われる」という結果が存在しているから。「主人公が世界を救済した」という結果を起点として順行と逆行が起きている。

世界を救済したポイントが「始まり」でも「終わり」でもある。世界を救う為の「TENET作戦」はスタルスク12という場所で世界が崩壊する原因となる「アルゴリズム」を回収すること。その場所で世界が救われることが決定している世界なのである。

「N」がゼロポイント

他の方の考察を読んで理解したのだが「TENET作戦」は順行チーム、逆行チームそれぞれの持ち時間は10分で、どちらのチームも「0」という時間を目指して行動する。だから「TENET」は前から読んでも後ろから読んでも「TEN」。「N」が「ゼロポイント」である。完璧すぎる!!

これは真理でもある。世界には0から9までの数字しか存在しない。この数字の組み合わせで世界が成り立っている。そして0と10は同じ「ポイント」である。中心には必ず「0」がある。登場人物たちは「0」を起点としてぐるぐるとしているだけなのだ。

時間の順行と逆行を同時に使うことによって、ノーランはこの世界の真実を暴き出したと言える。「始まり」と「終わり」が一緒ということはオカルト界隈では当たり前の話であるが、時間の逆行を用いることでそれが実際にどういう意味をもつのかを教えてくれている。

「始まり」と「終わり」が同じということ

この世界の真理

「始まり」と「終わり」が同じことが実際にどういった意味を持つのか。「起きてしまったことは変えられない=結果は変更できない」というこの世界の絶対的真理である、因果応報を強調しているのである。

世界線の変更(パラレルワールド)という考え方を取り入れたSF作品では、新しい世界が構築され今までの出来事がリセットされる。しかしその表現だと「始まり」と「終わり」が別々のものになってしまうのである。結果が変わってしまえば「始まり」と「終わり」が繋がることはない。

時間が未来方向に流れる、順行表現だけでは、この繋がりは絶対に表現できなかったこと。だから「TENET」はすごい。

原因と結果(ゼロポイント)に収束する物語

「逆行」でタイムラインを1つに

逆行することで原因を確認するのみで原因は修正せず、新しい行動を起こし、結果を変えた。

先ほど「逆行」することについて便宜上こう書いたけれど、実は最初から結果が決まっていたのが「TENET」の物語。時間を「逆行」することで「変わらない結果」に収束していくのである。

パラレルワールドを取り入れたSF作品は「原因を見つける→新しい行動を起こす→結果」をそれぞれの世界ごとに表現している。

先ほど触れた日本のアニメも、毎回結果は違うけれどたったひとつの結果に辿り着きたいからこそパラレルワールドを利用している。「TENET」は「逆行」というアイデアでそれをたった1つのタイムラインに表現できたのだ。

パラレルワールドは存在しない?

「世界が救済される」という結果を設定することで、「始まり」と「終わり」は必ず繋がることになる。

そのゼロポイント(原因と結果)を中心として、時間を同時に順行と逆行することで、同じ出来事が起こっているようで違う出来事のように感じることができる。それは見方が変わるということでもある。

わざわざ世界線を分ける必要などなかったのだ。これは盲点だったのではないだろうか?というか私も盲点だった。この考察を書きながら気がついた。

原因と結果は1つしか存在しない

ということで、実はこの世界には「原因と結果が1つしかない」という真実を暴いてしまった作品が「TENET」なのである。この世界の全ての存在やこの世界に起きる現象の原因と結果はたった1つ。パラレルワールドは存在しているようで、存在していない。

時間にこだわりを持って映像を作っているノーランは必然的に真実に行き着いてしまった。これはけっこう衝撃であるのだが、みなさんこの凄さに気がついているだろうか…。

しかし「エントロピーを減少」させることで時間が逆行し原因と結果に収束する、という理論を人間が証明できていないので、原因と結果が1つであることも証明できていない。私たちが本当にこの凄さに気がつくのはまだまだ先の話なのかもしれない。

エントロピーと記録の関係

未来へ進む時間の流れ

エントロピー増大について

時間を「逆行」することは現実世界ではありえないこと。わたしたちが体験している現実世界では時間は必ず未来に向かって進む。「TENET」の中でそのことは「エントロピー」を使って表現されている。

当たり前だがエントロピー理論はとても難しい。だからエントロピーと時間の話をするのも難しい。エントロピーは熱力学、統計力学、情報理論などに利用されている。

エントロピーは、熱力学および統計力学において定義される示量性の状態量である。熱力学において断熱条件下での不可逆性を表す指標として導入され、統計力学において系の微視的な「乱雑さ」を表す物理量という意味付けがなされた。統計力学での結果から、系から得られる情報に関係があることが指摘され、情報理論にも応用されるようになった。

wikipedia

熱力学第二法則というもので『時間が未来に進むこととエントロピーが増大すること』はセットであることがわかる。だから「TENET」では、逆行する銃弾や時間を逆行させる装置には「エントロピーの減少」を利用していることが語られる。

複雑になっていく世界

つまり、時間が進むにつれて私たちの世界はどんどん状態が変化し複雑になっていく。エントロピーは統計力学で「乱雑さ」の数値として表現されるが、私はそれを「複雑さ」と強く認識している。

「乱」という言葉ではこの世界がバラバラのように感じる。「複」という言葉であれば複製という意味を持ち、バラバラなものが実は同じものであると感じるから。

私の中ではエントロピーの増大とカオス理論は同じものだと思っているのであるが、調べてみるとどうも違うらしい。

私は理系の頭ではなく「考えるな感じろ」タイプ。私はエントロピーが増えることを「複雑さ」と意識してこの考察を書いている。

関連記事:カオス理論と預言者

記録を集めて時間を支配する

「記録」とは何か?

「TENET」の中で度々出てきた言葉がある。それは「記録」という言葉。主人公の「名もなき男」も、世界を破滅させようとしている「セイター」も「記録」を重要視していた。主人公は相棒「ニール」から「記録」の重要性を教えられる。

「セイター」は『記録をくまなく報告しろ』みたいなことを部下に命令していたはず。時間の順行と逆行を使いこなし「セイター」と「名もなき男」は戦うのであるが、それにはとにかく「記録」が重要なのである。映画の中ではそのことがあまり語られていなかったかも?

「記録」とは世界に情報を残すことである。映画の中では携帯の通話履歴、バスの発着履歴などなどが「記録」であると言われていたと思う。「記録」とは人間が残す「情報」や、自然が作り出す「状態」も含まれるはずである。

「記録」を利用する意味

先ほど『時間の順行とエントロピー増大』の関係性について説明したけれど、時間が進むほど世界には「記録」が増えることになる。それをエントロピーの増大と呼ぶ。つまり、時間が逆行しているときは「記録」が少なくなっているから、エントロピーが減少していると言える。

時間の流れを利用して戦いをするのであれば、世界に記録された「情報」または「状態」がどこで変化したのか?ということが戦いを有利にする。世界の「状態」や世界に散らばる「情報」を持てば持つほど先がどうなっているのか見えてくることになるし、予測も立てやすいのだ。

「名もなき男」の正体とは?

最大と最小のゼロポイント

世界を救済する「ゼロポイント」であるスタルスク12でのアルゴリズム回収作戦。あの時間と場所はエントロピーの最大値と最小値が重なるゼロポイントである。主人公は「順行チーム」であったのだから記録量最大付近にいる。

あの場所で勝つことができたのは「セイター」ではなく「名もなき男」であった。何故ならば「名もなき男」は最大値になった「全記録」を把握していたからである。

「セイター」は記録全てを把握できていなかったから世界を破滅させることができなかった。手落ちがあったのである。

おそらく「海の上」にいたからこそ「全記録」を把握できなかったはず。「スタルスク12」の方には「全記録」が存在していたのだろう。そのあたりは次回考察で説明できれば。

世界は「記録」で出来ている

人間がこの世界全ての「情報」や「状態」を把握することができれば、この世界の謎は解けてしまう。その「全記録」から完璧な未来予測をすることができるから。

しかし、実際にこの世界は人間にとって、とても複雑なもの。複雑であるからこそ、未来予測が困難である。複雑であるからこそ、この世界の仕組みを解き明かすことは、人間にとって難しい。

しかし、その「情報」や「状態」を全て把握することができる可能性がある人物は理論上存在するのである。

「創造主」は全記録を把握している

「全記録」を把握することができるのは「神/創造主」である。世界を創造した人物であれば「全記録」を持っている。その「全記録」から世界を創造するのであるから。

つまり「TENET」という物語を創造したのは「名もなき男」という神だった。全ては彼が仕組んだことであり、彼が「TENET作戦」の本当の黒幕であることにも説明がつく。

「神」には名前が無い

主人公に名前が無いことは彼が「神/創造主」であることを表現している。ユダヤ教では唯一神である「ヤハウェ」を信奉しているが、モーセの十戒にある「神の名をみだりに唱えてはいけない」との教えを彼らは守っている。

固有の名前を持つことは人間の特徴である。ユダヤ教では神と人間を区別するためにも神の名を唱えないのだろう。神に名前を与えることは畏れおおいことなのだ。

神が創り出す世界

「世界」を創った人物

ということで、実はこの世界には「原因と結果が1つしかない」という真実を暴いてしまった作品が「TENET」なのである。この世界の全ての存在やこの世界に起きる現象の原因と結果はたった1つ。パラレルワールドは存在しているようで、存在していない。

再び引用してみたが、「TENET」が暴いたこの世界の真実とは『原因と結果が1つしかない』ということだった。

これが真実だとするならば、この複雑な世界はたった1つの原因から発生していることになる。宇宙はビッグバンから始まったと言われているが、実際のところは分からない。

しかしこの世界は「神」が作ったということにしたらどうだろう。つまり原因と結果は「神」というたった1つの存在であるということ。

『全記録を把握』し『時間の順行と逆行ができる』神が創造したということにすれば、『原因と結果が1つしかない』ということが証明できるのである。

「世界」の創り方

エントロピーが最小になり世界が無になった時、またその「全記録」から逆行すれば世界が創り出される。「終わり」と「始まり」が重なり、尚且つ時間が逆行できなければ世界を再び創り出すことはできない。

もしも時間の流れが順行だけであれば、エントロピーがどんどん増えて収集がつかないような世界になってしまうだろう。宇宙は永遠に成長するのだろうか?そんなのは想像もつかないが。

それから、もしもエントロピーが減少する逆行する時間しか存在しないのであれば、無に還り、始まるかどうかもわからない。セイターが目指していたのは時間の逆行する世界である。

だから「始まり」と「終わり」が重なり、尚且つ時間の順行と逆行ができれば、永久機関が完成する。それには、やはり原因と結果が1つであることが必要になる。

「救済」する人「破滅」する人

「神」には二面性がある

「神/創造主」である「名もなき男」は「全記録」を持っていたからこそ世界を救ったが、世界を破滅させようとしていたのは「セイター」である。

「救済(始まり)」と「破壊(終わり)」は重なっている。ということは、彼も「神/創造主」であるはず。

「神」というのは二元性を司るものである。善と悪という言葉があるけれど、その2つを持ち合わせているのが「神」という存在。このことは、様々な神話で語られていることである。

私たちが「神」を恐れるのは『いつもは優しいけど怒ったら怖い』というイメージを持っているからだったりする。

「全記録」を持つ神はたった1人

映画の中では、未来に選ばれたものとして「名もなき男」と「セイター」が存在していた。それは『神から選ばれたものである』ということを表現しているから、やはり2人とも創造主なのである。イエス・キリストしかり。

しかし、ここである矛盾が生まれる。「名もなき男」も「セイター」も創造主だとすると、創造主が2人存在することになってしまう。これだと、原因と結果が2つになってしまう。

それから、「全記録」を持っているからこそ「創造主」であると先ほど宣言していたわたし。『セイターは「全記録」を持っていないから世界を破壊することができなかった』とも言った。そうであるとすれば「全記録」を持っていない「セイター」は創造主ではないことになる。

ということは『原因と結果が1つ』であり、尚且つ『セイターは全記録を持たない』ということにしなければ、矛盾が生じる。しかし、ノーランは「TENET」の中にその理論を成り立たせる「記録」を残してくれている。

「神」の側面たち

「神」以外の登場人物は『神の側面』を表している、というのがその矛盾を解消する答えになる。つまり「名もなき男」の善の側面が「ニール」であり、悪の側面が「セイター」なのである。

そして「名もなき男」の対になる性の側面として「キャット」が存在する。ちなみに「キャット」は「セイター」の側面としても存在している。

「名もなき男」の側面としてセイターやニールやキャットが存在しているから、セイターもニールもキャットも「名もなき男」なのである。ということは「神/創造主」は「名もなき男」1人ということになる。

世界を創造している者がたった1人だからこそ、原因と結果が1つに収束する。つまり、「TENET」の世界には「名もなき男」しか存在していない、ということになる。

ちょっと休憩

ここから先に書くことは、わけがわからないかもしれないが(ここまでもわけがわからなかったと思うけれど…)、考えるな感じろ!という気持ちで読んでほしい。

わからなくても、次回の考察その2でさらに詳しく説明する予定なので、とりあえず進みます。

側面は全て「記録」

「名もなき男」以外の登場人物は存在していない、というのはどういうことなのか。

実は「名もなき男」以外の登場人物は、エントロピーが増大することで生み出された存在たちである。つまり「名もなき男」以外は「記録」の一部であるということ。

おさらいになるが、時間が未来へと進むとエントロピーが増大し、過去へ逆行するとエントロピーは減少する。

そして「始まり」と「終わり」は重なっているから、ゼロポイントではエントロピーの最小値(0)と最大値(10)が重なっている。

「破壊(終わり)」をセイターがもたらそうとしていたから、最小値を表すのが「セイター」であると言える。彼が「名もなき男」の悪の側面であることがわかる。

ということは、善の側面が「救済(始まり)」をもたらす。世界を救済することのできる「名もなき男」の側面である「ニール」が「記録」の重要性を教えてくれたことも、納得できるのでは。

「実在」するものは生き残る

まとめると、エントロピー最小値(0/セイター)と最大値(10/ニール)ということになる。「始まり」と「終わり」が重なるゼロポイントでは、実在する「名もなき男」しか残ることはない。

だからこそ「始まり」と「終わり」が重なる、スタルスク12で「ニール」は死亡し、海の上で「セイター」も死亡したのである。エントロピーで生み出された存在(記録)はゼロポイントで消えることが決まっている。なぜならばやり直す為にはリセットが必要だから。

生き残った「側面」

『やり直すこと』と『続くこと』が重なっていることがわかりやすく表現された物語が「TENET」でもある。

ところで、もう1人の側面である「キャット」は生き残った。エントロピーで生まれたにもかかわらずだ。ちなみに息子の「マックス」も生き残っている。

それは『続くこと』を表している。これについては次回考察で詳しく。

「TENET」は創造主の内側の物語

開放された世界

ここからは「TENET」の物語ではなく、私たちが生きている世界のことを説明していこうと思う。

私たちは現実を生きている。自分が居て、他人や動物や自然がある。宇宙はどこまでも無限に続いているように思えるし「開放された世界」の中に自分が居ると思っている。

しかし、私たちが現実だと思っているものは、実際は「閉鎖された世界」なのである。

閉鎖された世界

「閉鎖された世界」とは地球から宇宙の彼方まで全てが自分から発生しているということ。全てが自分から発生したものであるが、私たちの目にはどこまでも続く「開放された世界」に見えているだけである。

実は世界には「自分」しか居ない。目に見えるもの全ては「自分」の内側にあり、それらは存在していない。「自分以外の全てのもの」は自分の内側で創り出されている幻想なのである。その内側の中心に「自分」がいる。

私は「TENET」の考察をしながら、私たちの世界が閉鎖されていることを説明してきたのである。信じられないだろうが、真実である。原因と結果が1つであることは、閉鎖された世界であることも証明できる。

「アルゴリズム」について

バーチャルリアリティな世界

自分だけが「実在」していて、自分以外の存在は全て「記録」であることが「閉鎖された世界」であることの理由になる。

自分以外のものは全て「単なるデータ」とも言える。なんと、世界に存在している自分以外のものは「アルゴリズム」で描かれている…。

目に見えているもの全ては「アルゴリズム」による描写で、現実はバーチャルリアリティなのである。その事を説明するためにも「アルゴリズム」の定義をwikipediaから引用する。

岩波国語辞典「算法」に、まず「計算の方法」とした後に2番目の詳細な語義でalgorithmの訳として、“特に、同類の問題一般に対し、有限回の基本的操作を、指示の順を追って実行すれば、解がある場合にはその解が得られ、解がない場合にはそのことが確かめられるように、はっきりと仕組んである手順。”とある。

wikipedia

と、引用してみたものの「アルゴリズム」のことを考え始めたら、チューリングマシンの停止性問題やらチューリング完全やら、なんだか複雑になってきたので、今回は説明をやめた。いつかやる。

「アルゴリズム」を創り出す脳

とにかく「アルゴリズム」が自分以外のものを描き出しているということは確か。強引だが。「アルゴリズム」とは結局何であるのか?私たちの世界では「脳(思考)」が「アルゴリズム」なのである。

「TENET」の中では破壊をもたらすものとして「アルゴリズム」が存在していたが「脳(思考)」には私たちを「破滅させる機能」もあるし「救う機能」もある、ということ。

冷戦の意味するところ

だから映画の中では「アルゴリズム」をめぐって戦いが起きていた。自分を破滅させるか・救うか、のせめぎ合いが「TENET作戦」であった。

「名もなき男」が船で目覚めたとき、「TENET」は冷戦である、と聞かされていたと思う。その言葉は現実の戦争ではなく、この脳内戦争を表しているのである。

私たちはそんな恐ろしい兵器(脳)を持っているのだから、自分を生かすか殺すかは自分の思考次第ということ。

「アルゴリズム」を創った人物

映画の中で「アルゴリズム」を作った科学者は自殺したとのことだったが、その科学者とは「名もなき男」の悪の側面である「セイター」である。彼がゼロポイントで「自殺」しようとしていたことからもわかる。

しかし、映画の中では「自殺」する前に「キャット」に殺されて死んでいる。「自殺」していないので矛盾が生じるかと思う。しかし矛盾にはならない。

『セイターが自殺した結果』も存在しているはずだから。それがエントロピー最小値になった瞬間でもある。その物語は「TENET」の中に描かれていない。なぜなら世界を救済する物語であったから、重なっているもうひとつの側面を詳細に描くことはできないから。

繰り返す世界

「セイター」は側面なのだから「アルゴリズム」を作ったのも「名もなき男」ということになる。

つまり、過去の自分(セイター)が世界を破壊するような兵器を作ってしまったから、その過ちを再び犯さないように「名もなき男」と「ニール」が「アルゴリズム」を回収するという物語である。

「始まり」と「終わり」が繋がり、繰り返している世界だからこそ、間違いを正すことができる。「TENET」は世界が救済される物語であるから、間違いに気が付き、それを正そうとする意識を持った善の側面である「ニール」が重要な人物となっている。

『この世界は救済される結果が優勢』ということの象徴が「名もなき男」である。彼は「悪のセイター」と「善のニール」を包括しているが、善が優勢になっているために「ニール」と行動を共にしている。

全てが「名もなき男」の内側で完結していることがわかると思う。

「TENET」は私たちの物語

「TENET」の主人公に名前がないのは、この物語が私たち一人一人の物語であることを意味している。自分が見て、体験している世界を創造しているのは「自分自身」であることを強調しているのである。

物語の中で「名もなき男」の素性は詳しく明かされていない。妻も子もなく1人の男だった。それこそ、創造主であることの表現といえる。私たち人間には個性が存在しているが「名もなき男」の背景を描かないことにより、誰にでも当てはまるよう意図されている。

「TENET」考察のまとめ

私たちが「神」だった

今回の考察をまとめると、私たち一人一人が創造主である「神」ということになる。自分を人間だと思っているとしたらそれは大間違い。私たちはみんな「神」だった。

「TENET」はその事を私たちに伝えているのだけれど、気がついている人は少ないだろう。それも仕方がないことで、人間はみんな「神」であった事を忘れてしまっているから。

「主人公」であることを思い出す

「TENET」の時間の流れは、逆行することもあったが「名もなき男」が死んで目覚めるところから未来へと進んでいく。目覚めたばかりの頃は自分が「創造主」であることを忘れている。

時間が進むにつれ「名もなき男」は自分が「主人公/創造主」であることを思い出してゆく。そして最後には「TENET作戦」そのものを計画したのが自分であることも思い出す。

ゼロポイントは「名もなき男」が「創造主」であることに気がついた瞬間でもある。気がついてしまえば自らが「全記録」を握っていることも理解する。だからこそ完璧な「TENET作戦」を考え、実行することができるのである。

人間は目覚めないと「創造主」になれない。しかし、誰にでも「創造主」になるチャンスはある。「名もなき男」のような行動をすれば良いのである。

名もなき男になる(神に成る)方法

人間が窮地に立たされたときに、他人の為に死ぬことを体験しなければ「解脱」できなかったりする。

ここで映画の冒頭に戻る。今回の考察の冒頭でこんなことを書いた。目覚めるには、一度死ぬ必要がある。誰かを守る為に自分の命を捧げるのである。命を捧げることができれば、必ず復活する。

それが「解脱すること」なのである。「解脱」さえすれば、自分がこの世界の「神」であることを思い出すことができるようになっている。そして自らが世界を創造していることを知るのである。

関連カテゴリ:輪廻からの解脱

私たちの世界との比較

つまり「TENET」の物語は「私たちの世界」をそのまま丸写しにしたものである。そのことをわかりやすくまとめてみる。「TENETの世界」と「私たちの世界」の比較で説明する。

1.「TENET」の世界は「名もなき男/神」が創造した

私たちの世界では、私たち個人が「名もなき男」である。つまり私たち一人一人が「自分の目に見えている世界」を創造している。人間一人一人が「神」である。

2.「始まり」と「終わり」が重なっている

私たちの世界は『原因と結果がたった1つ』という絶対的真理で構築されている。その原因と結果が「自分」である。

3.時間の流れには「順行」と「逆行」がある

私たちの世界は、時間が未来へ流れているのが原則である。しかし私たちが気がついていないだけで、時間は逆行している時がある。このことは次回考察で詳しく。

世界は「終わり」に向かっている

自分を救おう

私たちは早いところ「神」であることを思い出したほうがいい。もうすぐエントロピー最大値になる時期が近づいているから。世界(自分)を救う準備を始めた方が良い。

私たちは携帯端末を毎日のように操作して「情報」を増やしている。写真をとったり動画をとったり、毎日膨大な「記録」を残している。

毎日ツイッターで呟いているそこのあなた。エントロピー増やしてます。世界が終っちゃいます。

関連タグ:終末

世界の真実は「TENET」という言葉

ということで「TENET」は世界の秘密を暴くとんでもない作品であった。私はこの考察をしながら驚愕してしまった。なんて説明しやすいのだ!と。

私は「解脱」してこの世界の秘密を知ったから、その世界の秘密をなんとか説明したく、このブログを開設した。けれどそれはとても難しい作業。

この作品の考察をしながら、「解脱」によって私が理解したことがスッキリと頭の中でまとまっていった。

言葉では説明できるはずもないこの世界の真実が「TENET」のストーリーによって、すごくシンプルに説明できるようになった気がする。

つまりノーランは「神」である!まだまだ「TENET」には細かく考察したいところがあるので、考察その2に続く。