日常ブログにも書いてたこの本。いちおー読んだ。難しかったけど、後半から面白くなっていった。

人間は神コンプレックスを持っている

この本はリチャードノル氏によるユング批判本である。ユングの思想はカルト教団のようなものではないか、という内容。西洋において、ユングが批判される原因のひとつとして、キリスト教世界ではイエスキリストによる救済を待っているのが普通であるが、ユングは精神分析という手法で救済が行われると確信し、発表したからであるとわかった。

フロイト派のジョーンズさんはユングに対して「神コンプレックス」だとおっしゃっている。ユング自身、夢を通して神との合一を果たしてしまった。そんなユングの言動から「神になったと勘違いしているユング」とみなしてジョーンズさんはそう言っているわけだけど。

勘違い!妄想!と思われるのを覚悟で言いますが、私もユングと同じく神との合一を果たしてしまった。興奮した結果このUOZAブログを書いていたりする。みんな「神コンプレックス」を持っているのだと思う。神コンプレックスは意識に現れていなくとも集合的無意識のところにある。全人類の意識。

私が合一を果たした結果分かったことは、神を知ることは本当に難しいことで、たどり着いたものしか本当のところを理解できない。だからいくら言葉で説明しても理解してもらうのは難しい。このことを実感した出来事があった。

神を知った、友人の夢のこと

神との合一が近いと思われた私の近しい友人。このUOZAブログに神とは何か一生懸命書いているのだけど、読んでもらってもわからないのは何故だろう…と思っていた。あとちょっとなのに…と。お節介ながら頭の中でぐるぐると彼女のことを考えていた時、彼女から「こんな夢を見たよ」とのラインが。私が夢に出てきたらしい。その夢の内容はこんなかんじ。

「なんか、八丈島にいて、出店でハート形の透明のヨーヨーと、あとなんか小さいボウルに入れた粉をかき混ぜてて、それどっちも私にくれた。」

この夢の内容を聞いて、すぐに「神とは何か」を知りたいと無意識で思っているんだと思った。贔屓にしている夢占いのサイトで夢に登場するイメージの意味を確認する。私がボウルに入っている粉と水をかき混ぜて彼女に渡したらしいのだが、そこの意味するところがよく分からない。

一旦保留し、河合隼雄の心理学入門を読んでいたら突然、粉と水は「泥だ!」とひらめいた。シュタイナーが地球の成り立ちについて言及してたことが頭にうかんだ。地球のはじめは、どろどろとすべてが溶け合ったような状態だった、とかなんとか。その夢の内容が「神とは何か」を説明していることを私自身納得することができたので、彼女に泥とハートの関係を説明することができた。

それを聞いた彼女は最終的に点と点が繋がり理解に至った。彼女は自分の力で(夢によって)神を知ることができたのだ。というか、神とは何かを思い出すことができたのだと思う。実は全ての人間は神とは何か知っている。それは集合的無意識、心の奥深くに眠っていて普段気がつくことができない。私たちが持っているものは「神コンプレックス」というより「神を思い出したいコンプレックス」と言えるのかもしれない。

ユングから学んだ大切なこと

ユングから学んだことは、自分の内側で体験することが大切だということ。ユングが夢分析を重要なものとしたのはそういうところだと思う。他人に起こった例を聞いてもなかなか信じられないものだけど、自分の中に起きたもの(夢とかシンクロニシティとか)だと信じることができるのだ。それが人間である。

人間の救済方法

精神分析によって人間の救済(悟り)が行われることは間違いない、とユング同様、私も感じている。今までの宗教に足りなかったもの。神という存在は自分の内側の深いところにいるのにそれを外側に求めていたら、いつまでたっても救われない。自分を見つめる方法が分からない人たちがたくさんいる。その方法は一人一人違う。同じ教えでは、個々の人間に対応できない。

リフレクションで自分をみつめる

そんなわけで、最近は友人を実験台として「リフレクション」という名の精神分析をしている。手応えはある。「リフレクション」するとこちらまで勉強になる。長い付き合いでも気がつかなかった友人の深いところ、無意識の部分が明らかになる。彼女たちが、無意識で求めていたものや、一番大切にしているものを理解すると、その友人の過去の行動や言動がすごくしっくりくるのだ。当たり前だけど、人間って一人一人違っていて、その個性が本当に面白い。ますます好きになる。

リフレクションによって自分を真剣に見つめるということは、自分の影と向き合うということ。神を知りたいのなら苦しみを避けることはできない。その人の精神状態によっては、危険な行為ではあると思う。その辺りはまた別の記事で書こうかな。


強さは世界を動かす

ところで。このユング批判本が出たことによって、対抗するためにユングの遺族が「赤の書」公開に踏み切ったという。徹底的に調べ上げた批判は遺族の心を動かした。これって真理だなぁと思う。

自分のモヤモヤを解消するためだけのうすっぺらな批判は世界をちょっとだけしか動かさない。(一応動かしているところがポイントだけど)強さは世界を大きく動かすきっかけとなる。それが悪だろうと善だろうと。「赤の書」って錬金術の完成の色「赤」のことかな。読みたいな。