私は2019年1月に漫画「AKIRA」について考察し、2019年がどんな年になるのか予想した。1年たってしまったけど、その時の考察と現在の状況を比較し答え合わせしたいと思う。オリンピック開催が延期され「AKIRA」が預言書であるということが再び注目されている。

1年前には見えていなかったことが見えてきているから、もっと上手に考察していきたい。やはり「AKIRA」は預言書だった。話のあらすじは2019年の考察にリンクがあるので、そちらでどうぞ。

関連記事:「AKIRA」から読み解く2019年

「アキラ」と「鉄雄」が意味するもの

2019年の考察を振り返る

私の解釈ではありますが「アキラ」という存在はもともと日本に眠っていた力の象徴だと思う。それは宇宙の根源的な力でもある。その力を引き出すカギとなるのが「鉄雄」という存在。「鉄雄」は「悪」の象徴である。「アキラ」の力は破壊と再生を起こす力。「鉄雄」の力は変化を起こす力で「アキラ」の力を呼び起こすもの。
「AKIRA」から読み解く2019年

2019年の私はこんなことを言っていた。今回は2020年の状況と照らし合わせて「鉄雄」と「アキラ」が意味するものを再確認してみる。

「鉄雄」は悪の象徴

自分が嫌いな「鉄雄予備軍」

人気者の金田と自分を比較し、自分のことを好きになれないのが「鉄雄」である。2020年現在、新型コロナによって「鉄雄予備軍」が続々と登場している様子。自分のことを認めていない人たちは、何かに強く悪意を向けることがある。自分への不満が外に向いていることに気がついていない場合が多い。「鉄雄」は金田へ悪意を向けることでコンプレックスを大きくしていった。

誰にでもある「悪魔性」

自分に自信が持てない人は「悪魔」のようになっていく。この性質は人間が誰しも持つもので、全ての人間が「鉄雄予備軍」になる可能性がある。怒りと憎しみを自己表現とし、最終的に憎しみに飲み込まれてモンスターのようになってしまったのが「鉄雄」である。「AKIRA」の預言が当たるのならば、今後モンスターは生まれる予定。もう生まれているのかもしれないけれど。

「アキラ」は宇宙の根源的な力

アキラは原始の神である

「アキラ」は原始の神の象徴である。人間が脅威を感じるものを生み出すのが原始の神。自然災害や人為的災害も全て原始の神の力。新型コロナウイルスは「アキラ」の力で生まれたもの。原始の神は「生」と「死」を司り、バランスが崩れたときに修正を行う。神はこのシンプルな法則に忠実な働きをしている存在なのだけど、複雑さを好む人間にはなかなか理解されていない。

神は善(生)と悪(死)を区別しないので、感情を見せない。「アキラ」も無表情であり基本的に言葉を話さない。言葉を話さないことも原始の神の象徴である。人間は区別する生き物なので、区別しない無表情の神を怖いものと感じる。ちなみに、この恐ろしさは「もののけ姫」のデイダラボッチにも表現されている。どこを見ているかわからないような表情。

アキラの力は恐ろしいもの

「アキラ」は超能力を使うことができる不思議な子供。暴走すると、都市をまるごと破壊させるほどの力を出す。これが「死」を司る側面で、はじまったら止められないもの。全体のバランスが崩れたとき必ず何らかの「破壊」が起きるのが、この世界の法則。疫病の流行はバランスが崩れていることのお知らせである。

「アキラ」の力を引き出すもの

鉄雄はアキラの力を覚醒させてしまう

2020年現在、覚醒の兆候あり

作中で「鉄雄」は「アキラ」の力を覚醒させるものとして描かれていた。このことを現時点の状況と比較してみると、自分を認められない人たち(鉄雄)が原始の神(アキラ)を呼び起こし始めている、ということになる。原始の神の力は根本を変えてしまうほどの力ということを思い出してほしい。

世界が変わっていく合図

怒りと憎しみに支配された人間たちが社会制度に不満を持ち始めている。社会を壊しはじめる動きが強まっている。このまま怒りが収まらなければ、社会というシステムが崩壊を始める。

鉄雄の力は原始の力

崩壊のはじまりは「鉄雄」の力でもあるけれど、元をたどれば原始の神が司っているもの。「鉄雄」が「アキラ」を大覚様と呼び、従っていたことからもそれがわかる。怒りや憎しみという感情は人間が「死」に向かうための、原始の神の力なのである。

劇場版「AKIRA」では、鉄雄の力が原始の神の力であることがしっかりと描かれている。ミヤコが鉄雄をアキラと思い込むことは、原始の神の力を鉄雄に見出しているということになる。

アニメ映画版では脇役扱いで、鉄雄をアキラと思い込み、軍を蹴散らしながらアキラの下へ向かう鉄雄の後を追うも…

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アキラの力を使うことができる私たち

アキラの力は誰でも持っているもの。それをどう使うのかは、一人一人が決めることでもある。選択をする中で、自分の弱さを克服できず憎しみを増長させてしまう者は「鉄雄」のように自分をも飲み込む大きなパワーとなってしまう。「死」を恐れずに戦い続ける人は「金田」のように人々を導く存在となるのでありましょう。
「AKIRA」から読み解く2019年

使い方が肝心

私たちは原始の神から力をもらい生きているし、その力を使うこともできる。力をどう使うのかは私たち次第。憎しみと怒りにその力を使うと「死と破壊」がやってくるし、希望と喜びにその力を使えば「生と再生」が起きる。神は善悪を区別しないので、どちらを選択しようがかまいやしないし、怒ったりもしない。

選択が迫られている

2020年現在、どちらかを選択しなくてはならない状況が作り出されているし、既に選択の結果が現れ始めているとも言える。いま「破壊」が起き始めているということは、そちらを選択した人間が多いということ。これから大変な時代がやってくるけれど、この時代に生まれたことが運命であることも認めなくてはいけない。

再生を選択していく人たち

「AKIRA」の預言が当たるのならば「金田」のように希望にその力を使う存在が必ず現れてくるはずなのだが。今現在、「鉄雄予備軍」は見えているけれど金田的存在が少ないような気がする。

「金田」になる方法

「鉄雄予備軍」も金田になる可能性はある

「金田」が生まれる前の準備が行われているのが今の状況でもある。実は「死と破壊」に向かっていると思われる鉄雄のような人たちも、金田のような存在に生まれ変わる可能性がある。

この世界には、「死」の後に「再生」が起きるという変わらない法則がある。人間は「死」の苦しみを体験してからでないと「再生」しない。

金田は「再生」した人のこと

ここで言う「再生」とはこころの中のはなし。今は「死」に向かい合いやすい状況が作り出されているから、苦しんでいる人の中からこころが「再生」する人も現れてくるはずなのだ。「再生」できた人は、原始の神の真意を理解できる。その結果、金田のように希望を持ち破壊をもたらすものたちと戦っていく「主人公」になることを選ぶだろう。

関連記事:原始の神の力で「主人公」になる

「再生する世界」をつくるはずの日本人

救援物資は頂くが、それ以上のことは内政干渉とみなす。アキラはまだ俺たちの中に生きているぞ!

「AKIRA」より

エンディングでは、金田が「大東京帝国」という旗を掲げ新しい世界を作ろうとしている。この金田の言葉の意味するところ。「自分のために生きること」が再生する世界へのヒントである。自分勝手とも思われる言葉だけれど、これが一番大事なこと。アキラのこころの真意はここにある。日本人にはこの謎をぜひ解いてほしい。このブログに答え書いてるけど…

月と太陽の意味するもの

新しい月の時代へ?

漫画の中でもうひとつ気になったのは、鉄雄が月を破壊するシーン。ZOZOの社長が月に行くことになったり、中国が月の裏側を撮影したりと、最近月が騒がしい。東洋思想では「陰陽」というものがあって、月は陰・太陽が陽であるし、女は陰・男は陽である。METOO運動が活発になってきたのを見るに、男性社会から女性社会への変換が始まっている。鉄雄の力によって新しい月になるということなのかも知れない。それは力で物事を進める太陽という時代から、和合の月の時代への移行でもある。
「AKIRA」から読み解く2019年

2019年、わたしは「和合の月の時代」へ移行していると説明していた。このことについても、もう少し深堀していきたい。

月は女性性・太陽は男性性

2019年の考察を修正していく

METOO運動が活発になってきたのを見るに、男性社会から女性社会への変換が始まっている。

こう言っていたけれど、ちょっと理解が足りなかった。もちろん、女性が活躍する社会になってきてはいる。しかし、これは女性の力が強くなりすぎていることを表している。月の力が太陽の力を上回ってしまっている状態なのだ。

月の要素が強い現代

漫画の中でもうひとつ気になったのは、鉄雄が月を破壊するシーン。

こう言っているのに、2019年の私は気がついていなかったこと。月を破壊するということは、女性社会を破壊するということ。「鉄雄予備軍」が今の社会を壊していくことを象徴しているシーンである。

「女性の権利を守る」という平等を訴える行為は、男性原理の力である。女性原理は全てを受け入れることであるから、黙って男の後をついていくようなイメージ。これを嫌がり始めた女性は男性へと立場を変え始めた。月の力を持つ女性がこころのバランスを欠いている。

そして男性にも同じようなことが起きている。女性性が大きくなった男性は「自我を突き通すこと・忍耐すること」などに代表される男性性の特徴をなくしている。そんな男性は悲観的になりすぎたり、感情をコントロールできず論理的な思考ができなくなる。新型コロナによっていつもは論理的な人が混乱しているのを見てもそれを感じた。男性の中の月の力が大きくなり、こころのバランスを欠いている。

人間のバランスが崩れている

女性は男性性が大きくなりすぎていて、男性は女性性が大きくなりすぎている。これもバランスが崩れている原因であり、それを調整するために世界が「死」に向かっているのは必然である。

本当の太陽の時代へ

月じゃなくて太陽だった

それは力で物事を進める太陽という時代から、和合の月の時代への移行でもある。

月の時代への移行と言っているけど、これは間違いだった。正しくは、和合の太陽の時代へ移行していく。それは、月と太陽の力が統合された新しい世界。新型コロナウイルスの名前の中にも「コロナ」という太陽を表す言葉が入っている。

失敗を繰り返してきた人間

争いを繰り返してきた人間は、本当の太陽の時代を求めてきた。けれど、男性だけの力で成り立たせようとしていたから全て失敗に終わった。男性と女性は力を合わせないといけないし、人間の中の男性性と女性性のバランスも元に戻さなければならない。これが本当の太陽の時代を迎えるための準備。

新時代を覗いた人々

作中に登場する、ミヤコ教の本部にあった太陽のレリーフも「本当の太陽の時代」のことを表している。鉄雄がそのレリーフを見て驚く場面があるが、鉄雄はその時代を垣間見たのだ。原始の神の力を知り、利用できるものはその時代を覗くことができる。そこは人間の想像を超えたものであるから驚くのも仕方がない。金田が鉄雄の中に取り込まれた時に見たものもこれ。

和合の月の時代への移行もありえる

未来では世界の住み分けが起こることを、私は予想している。そうなった場合「和合の月の時代」も存在することはありえる。その世界は偽りの和合を掲げ、月の力が支配するバランスを欠いた世界であると思う。鉄雄はそちら側の世界を覗いてしまったのだろうか。再生する世界はひとつではないのかもしれない、ということは今後人類の未来カテゴリで考えていきたいところ。

関連記事:未来で起こる住み分け

心の中で苦しんでいる人たちへ

苦しみには意味がある

鉄雄のような怒りや憎しみを持ちながらも、感情を見せずにこの状況を苦しんでいる人もいると思う。そんな人たちがいたら、希望と喜びに力を使うことを考えてみて欲しい。

「死」を越えていく意志は誰もが持っているもの。苦しみからは必ず抜け出すことができる。私は体験しているから、これだけは自信を持って言える。

モンスターにならないために

鉄雄は憎しみと怒りに支配されモンスターのようになってしまったけれど、時折金田に助けを求める表情を見せていた。彼はとても苦しんでいた。その苦しみから抜ける方法を知らないままでいることは、とても危険なこと。

金田だって本当は鉄雄を助けたかった。手がつけられないほど危険な存在になってしまったから、戦うしかなかった。

自分のことを理解すること

自分の奥深くに眠っている「鉄雄」のことを認識することだけが、苦しみから抜ける方法である。自分の弱点を理解しておけば、モンスターになることを防ぐことができる。今は家にこもることができているから内省の時間もたっぷりある。こころの構造や自分を知ることについてはこのブログを読んで貰えば、少しはヒントになるかと思う。

2020年度版「AKIRA」考察まとめ

主要人物の意味するもの

ということで、最後に今回の考察をわかりやすいように整理してみる。主要人物がどういった意味を持つのかのまとめ。関連記事もぜひ読んでみてほしい。

鉄雄…自分を嫌いで自信が持てない人たち、全ての人間が持っている悪魔性のこと
手のつけられないモンスターとなる可能性を持つ人たち。または、苦しみを乗り越えて金田になる可能性を持つ人たち。

関連記事:悪魔性をもつ人間のこと

金田…自分に自信を持ち強さをもつ人間、男性性と女性性のバランスが取れている存在
希望を持ち「本当の太陽の時代」へと向かう人。受け入れる心と強い心を同時に持ち、正しい強さを発揮していく人。

関連記事:金田とアシタカは同じ

アキラ…生と死を司る原始の神
この世界のバランスを修正するために、破壊と再生の力を使うもの。鉄雄にも金田にも平等に力を与えるもの。月と太陽の力が統合されたもの。

関連記事:原始の神(こわい神様)カテゴリ

どうでもいい話

2019年度版の考察を読んで貰えばわかるが、あの時私はとにかく落合陽一にはまっていた。あの時学ぶべきものがあったのだろう。今はもうすっかり飽きた。今はゲーム実況者の加藤純一にめちゃくちゃはまっている。彼は原始の神のことを理解している珍しい人である。そんな人がもっと増えていくといいな。あと、トップ画像は昔行った大友展で金田のバイクに乗った写真。